1985年通年気象観測値からみた大雪山の気候環境
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概要
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永久凍土や多種の構造土が存在する大雪山は, わが国の代表的な周氷河地域である。しかし大雪山ではこれまでに長期の気象観測が行なわれたことはなく, 気候環境については年平均気温などが低地の値から推定されるに留まっていた。そこで1985年に標高2,000mの白雲岳避難小屋において通年の気象観測を行ない, 大雪山の気候環境について考察した。白雲岳避難小屋における1985年の年平均気温は-3.8℃であり, 不連続永久凍土帯にあるフェアバンクス (アラスカ) の平年値に近い。しかし大雪山ではそれと同様の温度条件を持つ高緯度地方の地域に比較して降水量が多い。また冬期の風が強く, 山稜部にはほとんど積雪のない風衝砂礫地が存在する。このような砂礫地には永久凍土が存在すると考えられる。温度的にみると永久凍土の下限高度は, これまで考えられていた標高2,000mよりも低い高度にまでも存在すると推定できる。このことは標高1,700m付近のパルサの存在から支持される。大雪山の山稜部は, 現在でも周氷河現象が活発に生じる周氷河環境にある。大雪山の森林限界高度は, WI (温量指数) 値が15を示す高度よりも低い位置に存在する。
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