劇症肝炎における血中トシル脂環性アミンの測定とその臨床的意義にかんする研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
劇症肝炎などの肝性脳症発現時に血中トシル脂環性アミンが著増することを観察した.血液を除蛋白し,ρ-toluene sulfonylchlorideにてトシル化される物質をGLC分析した.Tosyl cyclohexylamineに対して相対保持時間(RRT)が0.47を示す画分は昏睡度に平行して上昇し,予後の判定にぎわめて有用であつた.また劇症肝炎において交換輸血施行後,このRRT 0.47画分が著減した1例では覚醒し,また意識障害があつても低値を示した2例は救命された.即ち,交換輸血の治療効果は血中RRT 0.47画分の増減と密接な関係をもつと考えられた.本トシル化物はヒト肝癌の壊死部および実験的肝壊死部において高濃度に検出されたことより,主として肝壊死部より血中へ放出されるものと推定された.さらに,交換輸血時のプール血漿lιから単離精製したRRT 0.47画分(15mg)の質量分析により,その主成分はtosyl piperideineと同定された.