胃血管攣縮に関する形態学的研究 : 特に拘束潰瘍について
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概要
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拘束潰瘍の成因の一つである血管攣縮について雄性ウィスター系ラットを用いて, 水浸拘束, 薬物投与, 阻害剤併用並びに視床下部後部電気刺激を行い血管攣縮の形態像として認められている周核空胞 (竹内)の出現状態を検索し, さらに胃筋電図について検索を行い, 次の結果を得た.1) 水浸拘束後すべての胃粘膜に出血あるいはびらん性変化を認め, 周核空胞の出現率も高かつた. このことから出血あるいはびらん性変化の粘膜病変は血管攣縮に起因することが大きい.2) 周核空胞の消長は noradrenaline 投与にて, 1分より上昇し, 5分で最高値に達し, 60分後には対照群の値に復することより, 周核空胞の出現は血管攣縮の結果であり, そのことは可逆性のものと考えられる.3) acetylcoline 投与では胃筋電図で胃平滑筋の spasmus が認められるにも拘らず血管攣縮としての周核空胞の出現率は低い.4) α-Receptor の阻害剤である phenoxybenzamine を前記に併用した群では noradrenaline 群も水浸拘束群も胃粘膜に変化なく, 周核空胞の出現率も低値であつた. このことは拘束と血管攣縮との間に catecholamineの介在することを意味しているものと思われる.5) 視床下部後部電気刺激群では刺激後胃粘膜の出血は40%にみら治, 周核空胞の出現率も高値を示した. このことは交感神経中枢の刺激により, 血管攣縮と胃粘膜の変化をもたらすものと思われる.