低級脂肪酸を含む食品の脂肪酸組成測定法

概要

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低級脂肪酸またはそのメチルエステルの高い揮発性及び水溶性のため,このような脂肪酸を含む食品の脂肪酸組成の分析は,高級脂肪酸のみのものに比べて困難である。本報では,少量(約100mg)の脂質試料を用いて,低級脂肪酸を含む食品の脂肪酸組成分析法が以下のように確立された。すなわち,脂質をジアゾメタン及びNa-メチラートでメチル化し,生成した脂肪酸メチルエステルを<I>n</I>-ヘキサンで抽出する。低級脂肪酸メチルエステル(4〜13及び16:0)を15%OV-275カラムによる昇温GLCで,高級脂肪酸メチルエステル(14〜24)を脂肪酸メチルエステルに適するカラム(例えばDEGS)による定温GLCで測定し,これらのデータをパルミチン酸メチル量を仲介として,全脂肪酸組成(4〜24)を測定する(パルミチン酸は多くの食品の主な脂肪酸のひとつである)。バター脂質,マーガリン(乳脂肪含有)脂質及びやし油の脂肪酸組成が測定された。全脂肪酸メチルエステル量としての脂質の回収率は,バター脂質(97.6%),マーガリン脂質(98.5%)及びやし油(97.9%)であった。
社団法人日本油化学会の論文