ジドデシルジメチルアンモニウム=ブロミドのベシクルによる芳香族化合物の可溶化に及ぼす温度の影響
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概要
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ジドデシルジメチルアンモニウム=ブロミド (DDAB) ベシクル溶液中での芳香族化合物 (フェノール, 安息香酸, ベンゼン, エチルベンゼン) の可溶化に及ぼす温度の影響について, 可溶化平衡定数 (<I>K</I><SUB>vesicle</SUB>), ベシクル二分子膜の微視的粘性, ベシクルの対イオン解離度 (α) の測定等から検討した。ベンゼンおよびエチルベンゼンは温度が8℃以下の場合, ベシクルにはほとんど可溶化されなかったが, 8〜10℃の温度範囲でこれらの溶質の<I>K</I><SUB>vesicle</SUB>値は著しい増加を示した。蛍光測定よりベシクルの相転移温度 (<I>Tc</I>) は約9.5℃であることがわかった。このことから, ベンゼンおよびエチルベンゼンの可溶化はベシクル二分子膜の粘性に依存することがわかった。また, <I>K</I><SUB>vesicle</SUB>値と芳香族溶質の<I>n</I>-ドデカン/水相間の分配係数 (<I>K<SUB>dodecane</SUB></I>) を比較したところ, エチルベンゼンはベシクル二分子膜の内部に可溶化されるが, ベンゼンの場合にはそのπ電子と親水基カチオンとの間の相互作用によりベシクル表面近傍に可溶化されることが示唆された。一方, フェノール並びに安息香酸の<I>K</I><SUB>vesicle</SUB>値はほぼ<I>Tc</I>で極大となり, α値もまた<I>Tc</I>付近で極大値を示した。このことから, フェノールと安息香酸の可溶化はベシクルの帯電の度合いに依存することが明らかとなった。すなわち, これらの極性溶質はその極性基とDDAB親水基カチオンとの間の相互作用によりベシクル表面に可溶化されると考えられる。
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