乳牛における分娩前の血糖および遊離脂肪酸値と分娩後の負のエネルギーバランスの関係
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概要
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分娩前の負のエネルギーバランス(NEB)は胎児の成長に伴う栄養要求の増大や乾物摂取量の低下と関連があるが、その実態や分娩後のNEBとの関係は知られていない。健康乳牛における分娩前のNEBと分娩後のNEBとの関係を明らかにする目的で、分娩前2-0週の血糖(GLU)値と遊離脂肪酸(NEFA)値を基準としてI〜IVの4群に区分し、分娩後の血中成分の推移を検討した。その結果、GLUは分娩後2-4週にI群(低GLU・高NEFA)とII群(低GLU・低NEFA)で、III群(高GLU・高NEFA)やIV群(高GLU・低NEFA)に比べて低値、NEFAは分娩後0-2週と2-4週にII群とI群で、IV群に比べて高値を示した。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)は分娩後0-2週と2-4週にII群で、III群やIV群に比べて高値、γグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)は分娩後2-4週にI群で、II群に比べて高値を示した。また、分娩後にはGLUとASTとの間に負の相関、NEFAとASTおよびGGTとの間に正の相関が認められた。これらのことから、分娩後2-4週のNEBは分娩前2-0週のNEBと密接な関連があり、また、分娩後のNEBは肝機能と関連のあることが示唆された。
- 日本家畜臨床学会の論文
著者
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佐藤 繁
宮城県農業共済組合連合会県南家畜診療センター
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佐藤 繁
NOSAI宮城県南家畜診療センター
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佐藤 繁
岩手大学農学部
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河野 充彦
県南家畜診療センター
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村山 勇雄
県南家畜診療センター
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高橋 孝幸
県南家畜診療センター
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鈴木 利行
県南家畜診療センター
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佐藤 繁
NOSAI宮城
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