喉頭癌組織アルカリフォスファターゼに関する生化学的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 目的<BR>頭頸部悪性腫瘍患者血清アルカリフォスファターゼ (以下Al-Pと略す.) の中に腫瘍組織由来のものが出現している可能性を前報で推定したが, 今回は腫瘍組織そのものを用いて, その生化学的分析を試み, 腫瘍細胞性Al-Pの性質を明らかにしたいと考えた.<BR>2. 方法<BR>喉頭癌 (扁平上皮癌) 組織を用い, ブタノール抽出, Sephadex G-200によるゲルろ過, DEAE-celluloseクロマトグラフィーにより精製し, 精製された喉頭癌Al-Pについて, 分子量, アミノ酸組成および酵素学的性質について検討した.<BR>3. 結果<BR>1) 約20倍の比活性で精製された.<BR>2) 分子量約145,000と推定され, いわゆる高分子量Al-Pは, この分子量をもつAl-Pがlipoprotein particleと結合しているものと考えられた.<BR>3. アミノ酸組成では, 酸性アミノ酸が塩基性アミノ酸に比し高い含有率が得られた.<BR>4. フェニルリン酸を基質とした場合, 至適pH9.4, ミハエリス定数0.7mMであった.<BR>5. 活性中心における金属イオンの重要性が推論された.<BR>6. L-フェニルアラニンに抵抗性であり, EDTAに感受性を示した.<BR>7. 熱安定性では, 56℃, 5分で約50%の活性低下を認め, 65℃, 2分で失活した.<BR>8. ノイラミニダーゼの影響では, 電気泳動による移動度の減少があまり著明でなかった.<BR>9. 耐熱性Al-Pの生化学的性質との間に, 著明な差異が認められた.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
著者
関連論文
- 喉頭癌組織アルカリフォスファターゼに関する生化学的研究
- 頭頸部悪性腫瘍患者血清アルカリフォスファターゼに関する生化学的研究
- 頭頚部悪性腫瘍における酵素学的診断の検討
- 可溶性組織蛋白について (口蓋扁桃に関する生化学的研究-6,7-)
- 慢性副鼻腔炎と止血酵素 主として,線溶能における脂質の役割について
- 扁桃における乳酸脱水素酵素の意義
- 耳垢型の地理的変異とその生物学的解析:主として乾および湿型耳垢の持つ生化学的および免疫化学的特性について