頭頸部悪性腫瘍患者血清アルカリフォスファターゼに関する生化学的研究
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概要
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1. 目的<BR>最近, 肝, 骨疾患を有しない肺癌患者の血清および組織中に熱安定性とL-フェニルアラニンによる阻害率の異なる2種類の腫瘍性アルカリフォスファターゼ (以下Al-Pと略す.) 上昇が報告されているので, 頭頸部悪性腫瘍においてもこれら腫瘍性Al-Pの出現があるかどうか検討し, その臨床的意義を解明したいと考えた.<BR>2. 方法<BR>肝および骨疾患を有しない頭頸部悪性腫瘍患者62例, 非悪性腫瘍患者55例の血清を材料とし, Al-P値はKind-King法. そのisodynamicな分折は, 寒天ゲル電気泳動, 阻害剤およびゲルろ過によった.<BR>3. 結果<BR>1) 悪性腫瘍群における血清Al-P値の平均値が非悪性腫瘍群より約1.5倍高い値を示した.<BR>2) いわゆ高分子量Al-Pが悪性腫瘍患者血清中にかなりの高率で出現し, 腫瘍細胞性であることが推定された. また, このAl-Pは, 熱に不安定であり, L-フェニルアラニンに抵抗性であった.<BR>3) いわゆる耐熱性Al-Pの出現は, 62例中3例であった.<BR>4) 治療によるAl-Pの変動は, 治療開始後ほぼ1〜2週間で一過性の上昇を認め, これが局所効果の指標となり得る可能性が示された.<BR>以上の成績から. 頭頸部悪性腫瘍における血清Al-Pは, 熱に不安定で, L-フェニルアラニンに抵抗性のものが, 臨床上, 意義あるものと結論された.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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