耳管機能よりみた鼓室成形術の適応及び予後に関する研究 : 連続耳管造影法及び中耳腔内陽陰圧負荷法による定量的耳管機能検査を中心として
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概要
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1) 目的: 最近の鼓室成形術の進歩には著しいものがある. 形成鼓膜材料の問題, 術後聴力の保存, 改善の為の耳小骨連鎖に関する問題, 乳様蜂巣の処理のし方等多くの問題点に付いて研究改善されて来つつある. しかしながら最も重要な耳管の機能に付いては殆んど手を付けられていない現状である. 中耳腔内に手術操作を加えるに当つては耳管機能が適当でなければ良好な術後経過を望く事は難しく, 又耳管機能の低下により中耳に種々なる病的変化をもたらす事は周知の事である. しかるに耳管機能を或る程度定量的に測定し得る方法の報告は少い.<BR>そこで耳管の形態学的変化及びdrainage functionを主体として観察する為に連続耳管造影法を行い又定量的耳管機能測定法として比較的行われており, 耳管のventilatory functonを測定する目的で中耳腔内陽陰圧負荷法を行った.<BR>2) 方法: 対象としては両法共に鼓膜に穿孔のある事を必要とする為外傷性鼓膜穿孔例及び慢性穿孔性中耳炎で乾燥性の例を用いた. A) 連続耳管造影法: 外耳道に尖端部にcuffの付いたtubeを挿入しcuffをふくらませる事により骨部外耳道とtube間を密閉する. 76% Urografinを加圧しながら経外耳道に中耳腔内に注入する. 注入時に一度嚥下運動を行わせしめる. 撮影方向は頭頂頤方向として1秒間に2枚5秒間で計10枚の撮影を行う. B) 中耳腔陽陰圧負荷法: 上記の如き外耳道との間を密閉出来るtubeを用いる. そのtubeを通して中耳腔内に±300mmH<SUB>2</SUB>Oの圧力を象荷し嚥下運動による圧力の段階的降下及び最終圧をpressure transducerを通して記録する.<BR>3) 結果: A) 連続耳管影像の分類は器質的な狭窄及び閉塞の有無並びに嚥下運動時の耳管咽頭口及び軟骨部の開大の良否に付いて行った. 明らかに高度の狭窄及び閉塞があれば耳管全体の造影像は得られない, これをtype 1とし, 嚥下運動時のみ造影される場合をtype 2耳管全体の造影像はあるが軟骨部及び咽頭口の嚥不運動時に開大の見られないものをtype 3, 嚥下運動時に開大の見られるものをtype 4又その開大の非常に大なるものをtype 5とした. 外傷性穿孔例は全てtype 4に属し, 慢性穿孔性中耳炎例ではtype 1・2・3の耳管の機能の悪いと思われる例は57%にあり, type 4. 5の機能良好例は43%であった. B) 中耳腔内陽陰圧負荷法に於いては-300mmH<SUB>2</SUB>O負荷時の最終圧を主として分類を行つた. 最終圧-300--200mmH<SUB>2</SUB>Oのものをgroup 1, -200--100mmH<SUB>2</SUB>Oのものをgroup 2とし, -100-0mmH<SUB>2</SUB>Oの例をgroup 3とした. 慢性中耳炎例に於いてはgroup 1・2の比較的耳管機能の悪いと思われる例は70% group 3の耳管機能良好例は30%であつた. 又外傷性穿孔例は全てgroup 3に属している.
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