後輪状披裂筋のtonic activityについて : 特に声帯呼吸性運動との関連性を中心として
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概要
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声帯の呼吸性運動と内喉頭筋活動の相関については, 吸気相の後筋活性によつて外転し呼気相の閉鎖筋活性によつて内転するという概念が定説化され, すでに過去の研究として今日では顧みる者すら少ない. しかし著者はすでに報告した多くの基礎実験の結果から, この概念が必ずしも正しいものではなく, 筋記録や神経記録により電気生理学的にこの概念を裏付けるにはかなり無理があり, 実験成績で説明できない点にも推測をまじえたあいまいな判断がなされているのではないかという疑問を持つた. そこで更めて多数の猫の内外喉頭筋について検索した結果, すくなくとも安静呼吸では閉鎖筋は全く活動しないこと, 従って声帯呼吸性運動は後筋活動の消長にだけ起因するものであり, 呼気相におこる内転はpassiveな運動であること, 更に後筋について広い範囲から記録すると, 必ずしも吸気相にだけ活動するものではなく, 吸気呼気の別なくtonicな活動を示す線維もあることを知った.<BR>今回の研究の目的は, 後筋におけるtonicityの生理学的特性をとらえ, 声帯運動との関連性を明らかにすることである. 実験方法は猫の反回神経が喉頭内で分枝した後筋支配神経枝からtonicな活動を示す線維を分離し, 主として単一神経記録によって一連の実験を行なった. その結果1) 後筋支配神経の呼吸活動は吸気相に発射するphasicな線維の他に少数ではあるがtonicな活動を示すものも含まれている. 2) 両者は呼吸条件の変動や知覚神経刺激に対してほとんど同様の反応を示す. 3) 両者の活性に基く後筋活動の消長は声帯呼吸性運動のパターンと極めてよく合致する. などの結論をえた.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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