口蓋扁桃の免疫学的研究 : 補体を中心として
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概要
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口蓋扁桃に関し, これまでに数多くの研究がなされているが, その機能, および病巣感染における口蓋扁桃の果す役割については不明な点が多い. 急性扁桃炎後に腎炎の発症をみたり, 急性腎炎発症時に全補体値の低下があり, 更に, 扁摘により臨床症状の改善がみられること. および腎炎患者の糸球体に免疫グロブリンや, 補体が附着することも知られている.<BR>著者は, 近年著るしい進歩をして来た補体を中心として, 血清蛋白, 末梢血, CRP反応等の検査を行ない, ヒトにおける口蓋扁桃の免疫学的立場について検討しようと試みた.<BR>方法は, 30名の男女について, 扁桃摘除術前, 術直後, 術後1週, 術後4週以降の計4回にわたり, 血清全補体値, 血清蛋白等の測定を行なった.<BR>得られた結果の大要は次の如くである. すなわち, 血清γ-グロブリンは, 術前と比較して4週以降では減少の傾向があり, 血清C′H<SUB>50</SUB>は正常値より術前値が高い群では, 術の前後でほとんど変らず, 正常値群を含めて以下の群では傾向として上昇した. 末梢血, CRP反応の成績は, 直後, および術後1週での炎症の存在をおもわせた.<BR>扁摘の生体への侵襲は, これまでかなり大きいものと言われて来たが, この影響がなくなったと思われる時期に, 低値群でC′H<SUB>50</SUB>が上昇をしていることは興味がある. このようなγ-グロブリン, およびC′H<SUB>50</SUB>の動きより考えて扁桃が免疫学的に何らかの役割を演じていることが推論される.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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