声帯の振動様式について : ultrasonoglottographyによる研究
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概要
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振動中の声帯を動的に観察するために, stroboscopy, synchronstroboscopy, 高速度映画, photoelectroglottography, electroglottographyおよびultrasonoglottographyなどが開発されているが, ultrasonoglottographyを除く諸法では, 声帯振動の振幅の絶対値, 発声時呼気流率および声門下圧の同時測定は不可能である. そこで, ultrasonoglottography施行時に, 発声時呼気流率を同時測定することにより, 声帯の振動様式を分析した.<BR>1) 方法<BR>超音波パルスの繰り返し周波数を5000c/sにした装置を用いた. 使用周波数は5Mc.<BR>両側声帯の運動を分析するために, 甲状軟骨の両側に, 2本の探触子 (1側探触子には脱気水をみたしたアダプターを装着) を圧抵し, 左右2つの声帯運動曲線と, その間に, closed phaseを点線として記録する方法をとつた.<BR>正常人10名を対象としてultrasonoglottographyを施行し, うち4名で発声時呼気流率を同時測定した.<BR>2) 結果<BR>得られた結果は下の通りである.<BR>1. 音声のintensity, あるいは発声時呼気流率が一定で, 声帯振動の振幅が不変の際には, pitchが上昇するとO.Q. (open quotient) は増加する.<BR>2. 音声のpitchが一定で, 声帯振動の振幅が不変の際には, 音声のintensityがますと, O.Q.は増加する.<BR>3. 音声のintensityが一定で, O.Q. が不変の際には, pitchが上昇すると, 声帯振動の振幅は増大する.<BR>4. 音声のpitchが一定で, O.Q. が不変の際には, 音声のintensity, あるいは呼気流率がますと, 声帯振動の振幅は増大する.<BR>5. 音声のpitch, intensityが一定の時には. O.Q. は声帯振動の振幅と逆比例する.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文