装用児自身による補聴器の利得設定の試み : ―単音節聴取弁別能力の経時的変化からの検討―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
装用児自身による補聴器の音響利得の設定が何歳頃から可能なのかという点を, 21例の難聴児を対象にAided Hearing Thresholdと単音節聴取弁別能力との縦断的変化の特徴を検討することにより考察した.その結果, 単音節の聴取弁別能力が発達したのは4歳〜7歳で, その期間に難聴児自身に音響利得の設定をさせたところ, 聴取弁別能力の発達に伴って補聴器の音響利得を増幅させる傾向がみられた.逆に, 聴取弁別検査で無作為反応をしている難聴児の中には就学期以降の年齢でも十分な音響利得を得られない状態でボリューム設定している者がいた.これらの違いは, 補聴器を介して得られる聴覚的情報を難聴児自身が有用なものとして捕らえられているか否の違いであると考察した.<BR>以上のことから, 難聴児自身に補聴器の音響利得を選択させるには, 聞くことに対するモチベーションの獲得が前提条件となり, 4歳頃から可能であると考えられた.
著者
関連論文
- 聴覚障害児の助数詞の獲得と聴力との関係に関する一研究
- アスペルガー症候群の診断を持つ聴覚障害児への継続支援と変容に関する一考察
- 聴覚障害児の指文字の成立とその模倣に関する一研究
- 高齢難聴者の聴力の経時的変化 : 更生相談所来所ケースの分析から
- 補聴器装用時の騒音感について
- 更生相談所の来所する高齢難聴者の語音弁別能
- 聴覚障害児における楽曲の識別 : 和太鼓を使用した場合
- 「小1プロブレム」への対応と課題--幼児期から学齢期への移行を支援するために (社会の変化に対応する学校教育)
- 聴覚障害児における楽曲の識別--和太鼓を使用した場合
- 楽曲の識別における測定尺度に関する研究I : 情報伝達率の導入
- 発達障害様の困難のある聴覚障害児の典型事例の抽出とその特徴に関する研究
- 発達障害のある聴覚障害児に対する教師の印象判断に関する一研究
- 簡易防音室での聴力測定に関する基礎的研究 I
- 幼稚園・保育所における特別な支援について--小1プロブレム、幼保小連携を踏まえて (特集:就学前と高等学校における特別な支援)
- 手話併用環境にある聴覚障害児の音韻分解能力の発達における検討
- 生徒の生活によりそう「くらし」の授業づくり (第1部 各部研究 : 高等部)
- 「豊かな人間関係」につながる指導内容の検討と授業づくり : 中学部における「くらし」の再考から (第1部 各学部研究 : 中学部)
- 補聴器適合における騒音感の低減について
- 装用児自身による補聴器の利得設定の試み : ―単音節聴取弁別能力の経時的変化からの検討―
- インクルーシブ教育推進に関する学生意識の日韓比較研究 : 知的障害のある児童生徒の教育に関して
- 公立幼稚園における障害児の教育に関する一研究
- ヨーテボリ地域の聴覚障害児のための教育の進展と学校教育に関する研究 : 人工内耳装着児の増加と学校経営の観点からの考察
- 児童の受動文の読みプロセスに関する一考察 : 一事例を対象とした眼球運動計測による検討
- 聾学校に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童に関する全国実態調査 : 文部科学省(2002)を活用して
- 聴覚障害児の状況理解における眼球運動 : 状況画注視時における停留時間を指標として