混合ポルトランドセメントの研究 (第14報) モルタルの膨脹收縮性と耐水耐鹹性との試驗
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概要
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混合セメントに關する前報第13報迄の試驗報告から更に方面を更めてセメントモルタルの硬化中の膨脹收縮と耐水耐鹹性との比較試驗を行つた結果の一部を報告したもので次に其の要點を摘録しやう。(1) セメント試料は2種のクリンカーを用ゐ之に珪酸白土, 可溶白土, 溶珪白土等の可溶性多珪酸白土, 頁岩灰, 緑色頁岩〓燒物, 高爐鑛滓等の珪酸, 礬土, 石灰等を含む混合材を60:40, 50:50の割合に配合した各種セメント試料を2系列7種宛を調製した。(2) 是等のセメント試料の各種物理性, 化學成分を比較試驗して多珪酸白土混合セメントは比重が2.5-2.6, 全珪酸が45-50%にも及ぶ特殊のもので之を珪酸セメント又はシリカセメント (Silica cement) と稱してものよいこと豫ねて提稱した通りである。(3) 是等各種セメントモルタルの強度試驗をなし現行規格の硬練モルタルでは混合セメントの耐壓及び抗張強度は充分高いがセメントの實用を考慮した新提案の軟練モルタルでは混合セメントの短期強度は普通セメントの夫の約半分以下であるが長期に強度の増進が著しく1年以上では普通セメントの夫を凌駕すること, 從つて規格硬練モルタル試驗法の不合理不公正で早晩改變されねばならぬ事は著者が屡々論じて居る通りである。(4) モルタルの膨脹收縮を測定するのに軟練1:1.2-モルタルの4×4×16 (又は4×4×20) cmの強度試驗用の梁型試驗片を用ゐバウシンガー式測定器又はコンパレーターを以つて膨脹收縮を測定することにし成形1日の長さに對し4週, 8週以下56週 (1年以上) の長期材齡に亙つて詳細に測定試驗比較して普通セメントに對し混合セメントは殆んど大差ない膨脹收縮性を示し此の點から見て混合セメントに關し屡々懸念論議された膨脹收縮性が普通セメントに遜色のないことを認めて。(5) 此の膨脹收縮性試驗法を水以外各種鹽類特にNaCl, MgCl2, Na2SO4, MgSO4等の10%溶液中に52週迄の各材齡期間浸漬した試驗片の膨脹收縮率と最後の試驗片の彎曲及び耐壓強度とを比較試驗した結果普通セメントは混合セメントよりも甚だしく犯され龜裂崩壞するに對し混合セメントは耐水耐鹹性が著しく優れて居るのは全くクリンカーから遊離する水酸化石灰が混合材と結合して此の不安定な遊離石灰を殘さない點に基くことを確め混合セメントが此の膨脹收縮性と耐水耐鹹性とから堰堤, 築港, 護岸等水に常に直接する土木工事用のコンクリートのセメントとして好適なものであることを確めた。(6) 此の各種鹽類中に浸漬する間に受ける作用を見るとNa2SO4とMgSO4の硫酸鹽の作用が最も著しく普通セメントは全く崩壞するが混合セメントは之に耐え, Na2SO4液には寧ろ強度の増大がある。NaClとMgCl2との鹽化物の作用は割合少くMgCl2は稍作用があるがNaClには混合セメントは寧ろ強度が増大する傾向があるのを認めた。何れの點からも混合セメントは普通セメントより遙かに耐鹹性である事を確めた。高爐セメントは他の多珪酸型混合セメントよりは稍侵蝕され方が多い。此の研究は更に各種のセメント試料を得種々の方面から比較研究を續行中である。尚此の研究には旭化學工業奬勵會及びバルピンセメント株式會社からの補助を受け尚松岡及び能味の2人はハルピンセメント株式會社から相次いで研究室に派遣されて此の研究其の他に專ら當つたものである。茲に謹んで是等の點を明記して感謝の意を表したい。
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