マグネシア耐火物の彈性率に就て (第2報) : 副成分即ち珪酸アルミナ, 酸化クロム等の彈性率
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概要
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マグネシア耐火物の副成分たる珪酸, アルミナ, 酸化鐵, 酸化クロム等がその彈性率に及ぼす影響を窺知せんが爲に, 此等の酸化物を主成分とするシヤモツト煉瓦2種, 蝋石煉瓦1種, 珪石煉瓦1種, 高アルミナ質煉瓦1種並にクロム煉瓦1種を用ゐ, 之から厚さ1.5cm, 幅2cm, 長さ12cmの試驗片を截り取り著者等の考案に係る装置に依て, 常温度に於ける荷重と撓みとの關係並に彈性率, 常温度乃至950℃に於ける撓み及彈性率を測定し且常温彈性率と微構造並に高温彈性率と線膨脹係數の關係を論じた。(1) 此等耐火物の常温度に於ける撓みと荷重との關係は殆ど直線的である。(2) 常温度の彈性率は高アルミナ質煉瓦が最も高く, クロム煉瓦も之に近い。シヤモツト煉瓦及蝋石煉瓦は高アルミナ質の1/7-1/13に過ぎない。珪石煉瓦は彈性率最も低く高アルミナ質の1/19位であつた。(3) 常温度の彈性率と微構造との間には密接な關係がある即ち高アルミナ質煉瓦はシヤモツト煉瓦に似た組織を有してゐるが燒粉粒子は熔融の爲に結晶とガラスとが交錯して強固な組織をなし, 各粒子も高壓成形と高温燒成とに依て堅固に接觸してゐる。クロム煉瓦も緻密堅固な組織を作つてゐる。珪石煉瓦中の未變化の石英粒には多數の裂罅がある。シヤモツト煉瓦及蝋石煉瓦の石英粒には裂罅がないが粒子間の結合が堅固でない。(4) 彈性率と耐壓力とは平行して増減するが前者の方が開きが大きい。(5) シヤモツト煉瓦及蝋石煉瓦の彈性率と氣孔率との關係は殆ど直線的である。(6) 珪石煉瓦の撓みは約90-230℃間殊に鱗珪石の變態温度117°及163°邊で急激に増加し, 230°で突然激減する。280°位からは徐々に降り約550°で少しく急減し其後は殆ど變らない。シヤモツト煉瓦及蝋石煉瓦の曲線も之に似てゐるが約90-280°の變化が甚しくない且700-800°邊から撓みが急に昇る。高アルミナ質及クロム煉瓦では約750°までは撓みに著しい變化がなく, 750°邊から急激に増す。(7) 此等耐火物を一定速度で加熱しつつ温度と線膨脹係數との關係を仔細に測定した結果から觀ると, 撓みは珪酸の變態過程中に於てのみ激變し變態が完了すれば本來の價を示すもののやうである。(8) シヤモツト煉瓦, 蝋石煉瓦, 高アルミナ質煉瓦, クロム煉瓦等に於て撓みが約700-800℃から急増するのは換言すれば彈性率が急減するのは此等耐火物中に含まるるガラス質の軟化に因るのであらう。終りに本研究は日本學術振興會の援助に依つた。爰に著者等は同會に對して衷心謝意を表する次第である。
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