耐火セメントモルタルの試驗研究 (第1報) 市販品の比較試驗結果 (其1)
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概要
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耐火物の製造需要が製鐵鋼工業を初め諸般の重工業の隆盛につれて盛んになつて來て之に伴つて研究試驗も多くなつて來た。然し此の耐火物接合の目地, 内貼などに相當大きい重要と必要のある耐火セメントモルタルに就ての詳細な試驗研究が割合少く, 從つて現今製造, 使用されて居るものの品質は勿論, 如何なる品質の改善が必要であるか等に就ても參考し得る點が充分でないので茲に此の耐火セメントモルタルの試驗研究を初め, 茲に先づ第一着手として本邦市販品に就て比較試驗を初めたわけで, 次に本報に報告の概要を摘録しやう。(1) 耐火セメントモルタルの試驗研究が割合少いので信用し得る組織的の方法で準據し得るものが少い。唯獨逸工業規格 (DIN) の中に最近耐火セメントモルタル及び搗固め材料に就て5種の規格が草案として發表された。其の中3種DIN4080-4082は試驗規定であるので其の大要を紹介して今後の參考に供した。(2) 先づ本研究の第一着手として本邦市場から9種の耐火セメント試料を蒐集し其の化學成分を求め比較試驗したのに礬土60-69%のものが最高礬土質のもので次に礬土約38-45%, 珪酸約40-52%の所謂シャモット質のもの, 更に珪酸約63-76%, 礬土少く約14-26%の半珪石シャモット質のものの大體3種別にし得, 而も中には生耐火粘土, 水硝子などの可塑性乃至は可粘性附與材を含むと認められるものがある。(3) 其の中主要なもの6種に於て比重, 粉末度, 色合, 水と混捏した可粘性などを見ると高礬土質のもの程比重が大で3.0, 珪酸の多いもの程比重が小で2.5の間に並んで居る。粉末度は900目篩上の粗粒の多いものから2500目篩上の中粒は少く, 4900目篩の細粒は稍多く, 4900目篩を通る微粉末が何れも多い。水と混捏して可塑性乃至は可粘性の強いものと弱くて殆んど無いものと迄あるが概して此の可塑性の多いものは上述の樣な可粘性附與材を含むと認められるものである。(4) 6種の市販耐火セメントを水で混捏して長さ6cm, 幅3cm, 厚さ約1cmの試驗片を成形するときのモルタルの成形用水量, 乾燥固結日數なども可粘性附與材の添加されたと思はれるものは乾燥が遲い。(5) 更に此の試驗片で乾燥減量を比較すると明らかに此の可粘性附與材の有無に依つて確實な差が起つて來る。又乾燥收縮率に就ても同樣に附與材のあるものは收縮が大きい。(6) 同じ試驗片で600℃から1400℃迄の各温度2時間燒成したときの燒成減量, 燒成收縮等を比較すると添加物のあるもの乃至は密に硬化して前述の混捏水を多く吸藏するものは600-800℃で膨脹氣味で1200-1400℃で著しく膨脹又は收縮して來る嫌がある。高礬土質で添加物が少いか加へてないものは總べて上述の各種の試驗には割合優良な結果を示して來るが唯水と混捏して粘性が弱く, 常温での硬化が不充分である。(7) 以上は市販耐火セメントに就ての單に豫備的の試驗に過ぎないが目下進んで耐火度, 各種熔滓に依る侵蝕試驗, 硬化強度, 熱間荷重の耐壓強度及び軟化の模樣, 其の他各種の比較試驗を組織的に行つて居るから後日第2報に之を報じ, 更に是等を基礎として優良な耐火セメントモルタル, 殊に最初に述べた水硬性耐火セメントモルタルの試製研究に及ぶつもりである。終に此の試驗研究には帝國學士院學術研究費の補助及び九州耐火煉瓦株式會社よりの援助を受けた點が多い。茲に銘記して深く感謝の意を表したい
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