酸化鐵を含む硝子に就て (第11報)
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概要
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(1) 加里石灰珪酸硝子の調合の石灰を順次に其れに相當する量の蓚酸第一鐵で置換した硝子に就て研究した。(2) 硝子中のFeO/FeO+Fe2O3の百分率は, 鐵分の量の増加と共に順次に大きくなつた。(3) FeO/FeO+Fe2O3の百分率と全酸化鐵の量との關係には, 硝子成分中のアルカリの相違による影響はなかつた。(4) 硝子試料の1mm又は5mmに磨きたるものに就て透過曲線を求めた。此の透過曲線とFDセリースの其れと比較すると, 硝子中の酸化鐵の含有量が2%以下のものでは, 其等の2つのセリースの示す最高透過率を示す波長は稍々差があるが, 2%以上になると其等の間に差がなくなる。(5) FDKセリースとFDセリースとの透過曲線を比較して, 其等の2つのセリースの示す最高透過率を示す波長の透過率の傾向は, FAKセリースとFAセリースとに於ける其等の傾向と同様なるものであつた。(6) 硝子の呈する色は, 酸化鐵の含有量の小さいものでは帶青色であつたが, 鐵分の量の増加と共に緑色を帶び遂に暗緑色を呈した。附記 此の研究に當り安部俊夫氏並びに廣瀬三夫氏の大なる助力を感謝す。