珪酸二石灰の變態に就て
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概要
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2CaO・SiO2の變態について顯微鏡, X線及熱分析等の方法によつて研究した。その結果は大約次の樣である。1. 燒成温度1,500℃以上の場合は以下の場合よりダスチングが少ない。氷で冷却した白金坩堝中に落下する程度の冷却法では燒成物は皆α2CaO・SiO2とγ2CaO・SiO2との混在物である。2. 燒成温度が1,500℃から次第に増すに從ひ上記の冷却法でも冷却生成物は次第にγ2CaO・SiO2の量を減じα2CaO・SiO2の量を増し1,700℃位では殆んど純粋に近いα2CaO・SiO2となる。3. 自然冷却した燒成物は皆γ型に變る筈であるが事實はその中にもα2CaO・SiO2が混在し純粋なγ2CaO・SiO2は得難い。4. α及γ2CaO・SiO2の混在する燒成物中のα2CaO・SiO2を除き純粹なγ2CaO・SiO2を得るには (a) γ2CaO・SiO2はダスチングを起し微粉をなすので篩分けて微粉のみを集めること (b) γ2CaO・SiO2の安定温度範圍で繰返し加熱して混在するα型をγ型に變へること (c) 混在するα2CaO・SiO2を注水によつて溶出すること等によつてその目的を達し得ることが分つた。5. 熱分析によればγ2CaO・SiO2は700℃附近に熱變化の表れを見る。これはγ→βの變態を示すものであらう。α2CaO・SiO2, 3CaO・2SiO2等は700℃近邊に微量の熱變化が見えるが之は混在するγ2CaO・SiO2がγ→βの變態を示すことによるものであらう。6. 以上の結果からα〓β, α〓γは遲鈍型の變態 (Slugish inversion) でありβ〓γの變態は極めて急速で所謂高低温度型のの變態 (high-low inversion) と考へられる。7. 3CaO・2SiO2中にはX線分析, 顯微鏡觀測及熱分析結果からγ2CaO・SiO2の存在が考へられ3CaO・2SiO2の存在は尚ほ吟昧してみる必要がある。終りに本研究は山本奬學資金並に本校創立滿二十五年記念奬學資金の補助を受けた。著者等は衷心感謝の意を表するものである。
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