セメントの伸縮現象に就て (第3報) : 乾燥, 濕潤交互養生の場合
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概要
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本報は第1, 2報が水中又は空中の一方的な單調養生に於ける伸縮現象を取扱つてゐるのに對し, 實際に即する乾燥濕潤なる交互養生に於ける膨脹收縮に關して行つた第一, 二次試驗結果を述べたもので, これを要約摘記すれば下記の如くである.(i) 試驗體は4×4×16cm梁形軟練モルタルにより試料は普通セメント, 高級セメント, 特種セメント, 混合セメント等合計11種に就て14日間宛の濕潤乾燥養生を交互に行ひその都度重量變化と膨脹收縮を測定した.(ii) 第一次試驗に於ては乾濕交互養生の濕潤法として噴霧室養生をとり, 供試體の表面中心の伸縮状態を測定した.交互養生による重量變化, 伸縮は規則正しい反覆性を示すが材齡5-7週以後供試體の表面中心間に長さのgapを生じ, これは交互養生によつても材齡後期まで殘存しながら表面中心共に同樣の伸縮を繰返すのである. 即ち材齡5-7週に於て内部歪を生じこれは材齡を重ねても殆んど一定して消失せず永久變形として殘る. 而てその發生の初期には内部歪は必然に歪力を生じ供試體の強度に影響を及ぼす筈である. この點を追究する爲内部歪をより多く惹起する筈の15×15×30cmのコンクリート供試體に就て研究の結果, 内部歪と強度變化との關係を明かにし得た. 即ち收縮によつて發生した内部歪は初期には強度を低下せしめるが後期には匍行性によつて永久變形と化し歪力は消失し強度は恢復する.(iii) 第二次試驗に於ては濕潤條件として水中養生を採用したのであつたが第一次試驗結果とも併せて次のことが言へる.濕潤乾燥交互養生によつて膨脹收縮は規則正しき反覆性を示すが, 斯る變化の中にも漸進的に收縮が伴ふものである. 即ち交互養生による膨脹收縮は殆んど相等しき値をとるが後者は前者に比し稍々大きい. 從つて材齡と共に全體として次第に收縮して行く譯である. 他方, 交互養生に於て水分の吸收逸散に因る供試體重量の變化は一定値を中心にして増減するが, その増減の振幅は材齡を重ねるに從ひ減少する. これは供試體の硬化が進行することを意味するもので上記伸縮現象と比較對照することにより, この硬化の進行が上記の漸進的な持續性收縮を惹起することを明かにし得た. つまりセメント製品は乾濕による反覆性伸縮現象の他に硬化による永續性收縮を伴ふのである.(iv) 上述 (iii) に於て説明した交互養生による反覆性膨脹收縮は濕度に對するセメントの伸縮感受性と考へられ, これはセメント種により異り本試驗では混合セメント最も大きく低熱セメントは最小で後者は前者の約半分の値を示した. 換言すれば乾濕に對する感受性はセメントに固有のものであつて養生によつては矯正出來難い樣である.尚, 本研究並びに發表に當り御懇篤なる御指導援助に預つた淺野セメント會社取締役藤井光藏氏, 研究所長中川博氏に對し深く感謝の意を表する次第である.
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