過塩素酸-リン酸法によるクロムの定量Box-Wilson法による酸化条件の決定
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概要
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過塩素酸およびリン酸の混酸によるクロムの酸化条件をBox-Wilson法を応用して決定した.その結果,酸の混合比(H<SUB>3</SUB>PO<SUB>4</SUB>/HClO<SUB>4</SUB>の容積比)は0.4±0.05,酸化温度は203±1℃,加熱時間は3.5±0.5分がよいことを見出した.<BR>つぎに,この結果を低合金鋼中のクロム分析に応用し,クロムと同時に酸化されて生成したマンガン(III)は2%窒化ナトリウムを加え煮沸して還元し,硫酸第一鉄および過マンガン酸カリウムを用いて滴定し,クロムを迅速に定量し得た.<BR>クロムの分析方法には種々の方法があるが<SUP>5)</SUP>,それらの方法の多くはCr(III)→Cr(VI)なる反応を応用している.これに過塩素酸が有用な試薬であることはすでに1919年にH.H.Willard,W.E.Cak<SUP>13)</SUP>により見出されている.しかしその欠点としてCr(VI)と過塩素酸が反応し,揮発性の塩化クロミルを生成するため分析値は低くなりやすい.この欠点を補い,かつ溶解能を増加するために硫酸およびリン酸などが併用されている.すなわちG. F. Smith, G. P. Smith<SUP>9)</SUP>は不銃銹の分析に過塩素酸+リン酸および,過塩素酸+硫酸の混酸を使用し, G. F. Smith, V. R. Sullivan<SUP>12)</SUP>は過塩素酸+硫酸を使用している.さらにG. F. Smith, C. A. Getz<SUP>11)</SUP>はフ***クロムをリン酸にとかし,過塩素酸+硫酸でクロムを酸化している.またG. F. Smith, J. A. McHard, K. L. Olson<SUP>10)</SUP>のはタングステン,およびフ***タングステンの溶解に過塩素酸+リン酸を使用している.<BR>最近ではP. F. Agafonov<SUP>1)</SUP>が過塩素酸+リン酸でクロムを酸化し滴定により, A. A. R. Wood<SUP>16)</SUP>は光度法によりクロムを定量している.また, C. A. Coetz, E. P. Wadsworth<SUP>4)</SUP>はその混酸で鉱石を分解し, H. Schroder<SUP>7)</SUP>はマンガンをIII価に酸化し光度定量している.しかし,この過塩素酸とリン酸の混合比,酸化温度,および加熱時間を適当にえらばないとよい結果は得られない.<BR>クロムの酸化条件として上述の研究者が行った結果をTable 1に示す.<BR>Table 1に示すように酸化の条件は研究者によりまちまちなので,この最適条件を確かめるため,Box-Wilson<SUP>2)3)8)</SUP>法を応用して研究を行った.
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