X-ray Diffractometerによる工業分析法の研究(第2〜3報)
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概要
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X-Ray Diffractometerによる結晶混合比の定量法の特色を示す酸化チタンのルチル化率測定,塩化ビニールシート中および塗料皮膜中の顔料組成の定量を行い,従来の定量法に比して極めて簡単に定量を行い得る事を認めた.<BR>本結果をゴム中の各種充墳剤の分析および充墳剤の分散,混合の良否の検定に適用する研究は目下続行中で,近く別の機会に報告する.<BR>また,A〜B, B〜C混合系の検量線(あるいは比例恒数が得られている場合,A〜C混合系の比例恒数としては前者より計算によっ.求めた値を十分信頼して用い得る事を示した.<BR>更に粒度を異にする三種の炭酸カルシウムについ.検討した結果,結晶がよく発達し粒度も大きい重質炭酸カルシウム(石灰岩を粉砕したもの)は他の人工製品と同様に取扱ら事は適当でなく,予め試料を廻転しない粉末写真によって検べる必要がある事を認めた.<BR>X-ray Diffmctometerによる定量分析法の特色を示すState Analysisの一例としてKCl,Na<SUB>2</SUB>SO<SUB>4</SUB>複分解生成物の分析に必要なデータを作成した.その際ある物質の測定に用いる廻折線と他の物質の廻折線が完全に重畳する場合,その強度は両者の和になることを確認した.また分離が不十分で一部重なり合う廻折線を測定に用いなければならない場合のbaseの採り方を検討した結果,両方の廻折ピークに共通な基部より左および右の基部に引いた切線をbaseとするのが適当である事を認めた.<BR>以上のデータを用いてイオン組成を異にする粗製Glaseriteの分析を行って,本分析法がState Analysisの方法として十分信頼出来ることを示した.<BR>更にK<SUB>2</SUB>SO<SUB>4</SUB>, Na<SUB>2</SUB>SO<SUB>4</SUB>のみの反応で生成するGlaseriteの組成が,最初の両者の混合比を変えることによって異って来ることも明らかになった.
- 社団法人 日本分析化学会の論文