アンチモンのオキシン錯塩について : オキシンによるアンチモンの分析
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概要
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アンチモンのオキシン化合物についてわれわれが得ている知識上概略つぎのようなものではないかと思う.<BR>1.塩化物等の溶液から直接オキシンで沈澱せしめたものはSb(C<SUB>9</SUB>H<SUB>6</SUB>NO)<SUB>3</SUB>であるが,吐酒石から得たもの,および溶液に酒石酸を加えてかられキシンで沈澱せしめたものはSbO・C<SUB>9</SUB>H<SUB>6</SUB>NO・(C<SUB>9</SUB>H<SUB>7</SUB>NO)<SUB>2</SUB>である.<BR>2.<I>V</I>価アンチモンのオキシンによる沈澱は不完全であって,特に酒石酸等を加えた場合に沈酸を生じない.<BR>1.のアンチモニル化合物についてはT.I.Pirteaがアンチモンの定量可能な形として報告しているけれども,実際にこの形として定量した場合には結果があまり良くないので,その原因を検討したが,酒石酸を加えても加えなくても,更に吐酒石から出発しても,いつでも出来る沈殿の組成上Sb(C<SUB>9</SUB>H<SUB>6</SUB>NO)<SUB>3</SUB>であることがわかった.<BR><I>V</I>価アンチモンのオキシン化合物については,濃塩酸中においてSb(C<SUB>9</SUB>H<SUB>6</SUB>NO)<SUB>2</SUB>Cl<SUB>3</SUB>の様な組成のものが定量的に沈殿することを認めた.これはアンチモン(<I>V</I>)に特異な反応であって,他イオンとの分離およびアンチモンの定量が可能かつ容易となる.なおジクロロオキシンおよびジブロモオキシンによって同じ様な化合物Sb(C<SUB>9</SUB>H<SUB>4</SUB>NOCl<SUB>2</SUB>)<SUB>2</SUB>Cl<SUB>3</SUB>およびSb(C<SUB>9</SUB>H<SUB>4</SUB>NOBr<SUB>2</SUB>)<SUB>2</SUB>Cl<SUB>3</SUB>を得たが,これらの化合物が分析の目的に使用してなお一層効果的であることを知った.
- 社団法人 日本分析化学会の論文