17 核燃料分析
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概要
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核燃料がはじめて進歩総説で取り扱われたのは1961年であり,このときはウラン,トリウムについて紹介した.そこで今回はプルトニウムを取り上げてみることにする.<BR>94番元素であるプルトニウムは1940年Seaborgらによって<SUP>238</SUP>Uの重陽子衝撃の結果発見された元素である.その後原子炉が開発されるにおよび,<SUP>238</SUP>Uの中性子照射で多量につくられるようになった.<SUP>238</SUP>Uは一般的な熱中性子炉では核分裂反応をせず,天然ウランで核燃料として用いうるのはわずか0.7%程度含まれている<SUP>235</SUP>Uである.ところが,<SUP>238</SUP>Uの転換によって得られる<SUP>239</SUP>Puは熱中性子,速中性子のいずれでも<SUP>235</SUP>Uと同様に核分裂反応を起こし,核燃料として利用することができる.それゆえ<SUP>238</SUP>Uの<SUP>239</SUP>Puへの転換が原子炉中で効率的に行なわれるならば,人類はウランのみより期待されるものの約140倍ものエネルギーを確保できるともいわれている。この意味において,プルトニウムは現在人類が最も多量に生産しつつある着目すべき人工元素といいうる.もちろん多量のプルトニウムを生産し,これを核燃料として用いるためにはまだ多くの問題があり,現在,各国競ってその研究開発を進めている。おそらく10年以内にプルトニウムを用いた経済的な実用炉が出現することであろう.この分野で少なからず遅れをとっているわが国でも積極的な研究開拓が始められようとしている.今のところあまり一般的ではないが,分析化学的な立場よりプルトニウムの紹介を行ないたい.<BR>発見当初はコン跡程度のプルトニウムで諸性質の究明が行なわれた.しかし現在では,多量に生産され保有されるようになっており,その化学的性質なども一部の天然希元素よりも克明に知られている.すでにいくつかの総説,解説が出されているが,特に参考になるものとしてはKatz,Seaborgらの著者,邦訳書などがあげられる.分析化学の領域でも,発見より現在に至るまできわめて多数の報文が見られ,軍事利用の関連から未発表のものもあろうが,橋谷,山本による文献集にプルトニウムの発見以来1963年までの約1500編の報告が集録されている.そのほか,分析化学に関するMetzらの総説が参考となろう.<BR>以下,プルトニウムの分析に関する諸問題を概説しながら,1940年代より1964年末までの抄録誌(NSA,C.A.,A.A.)から得たおもな関連文献を紹介する.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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