チオマリック酸を用いるタリウムの紫外吸光光度定量 : メルカプト化合物の分析化学的研究(第4報)
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概要
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タリウム(I,III)は酸性,中性,アルカリ性でチオマリック酸と反応し,無色の安定な水溶性錯塩を生成する.特にアルカリ性においては紫外部に最大吸収を有し,紫外吸光光度定量が可能であると思われるので,これを利用して紫外吸光光度定量する際の基礎的条件ならびに錯体の組成について検討した.pH10.5,チオマリック酸の0.1%水溶液30m<I>l</I>/100m<I>l</I>,測定波長300mμで0〜130ppmタリウムの範囲内でベールの法則が成立する.また,タリウム(I)-チオマリック酸の反応モル比は1:2であり,分子吸光係数は1.8×10<SUP>3</SUP>であった.共存イオンの影響としては,Cd<SUP>2+</SUP>,Hg<SUP>2+</SUP>,La<SUP>3+</SUP>,In<SUP>3+</SUP>,Pb<SUP>2+</SUP>などについて検討した.<BR>TMAを用いるタリウム(I)の紫外吸光光度定量する際の基礎的条件について研究を行ない,測定波長300mμにおいて,タリウムの0〜130ppmの範囲でその吸光度と濃度の間にベールの法則が成立することを認めた.従来,タリウムの定量法にはタリウム(I),(III)としてジチゾン法,ローダミンB法などがあり,いずれも抽出などの方法がとられているが,本法は,タリウム(I)の定量法であり操作法が簡単である.<BR>本法の感度は吸光度0.001=0.115μgTl/cm<SUP>2</SUP>である.<BR>よってTMAを用いるタリウム(I)の紫外吸光光度定量は十分可能であると思われる.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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