トリウム-モリン錯体を利用する微量硫酸イオンの吸光光度定量
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概要
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トリウムはモリン(5,7,2,4-flavanol)と弱酸性溶液中で410mμに吸収極大を持つ黄色の錯体を生成する.この溶液に硫酸イオンを加えると,トリウムの硫酸塩錯体形成のために,トリウム-モリン錯体の410mμにおける吸光度を減少させる.この吸光度の減少の大きさと硫酸イオン濃度との間に比例関係があることを利用して,微量硫酸イオンの定量を行なった.硫酸イオンが0.2〜5×10<SUP>-5</SUP><I>M</I>の濃度範囲では,トリウムおよびモリン濃度がいずれも5〜7×10<SUP>-5</SUP><I>M</I>の場合に,Δ<I>A</I><SUB>410</SUB>と硫酸イオン濃度との間に直線関係が認められる.また,溶液のpHは2.3〜2.5の間で,60%エタノール溶液のとき,Δ<I>A</I><SUB>410</SUB>の値が一定最大となる.本法は特に前処理を行なう必要もなく,簡単な操作で0.2〜5mg/<I>l</I>の硫酸イオンを±5%程度の誤差で定量することができる.この方法を天然水,選鉱排水の硫酸イオンの定量に応用したところ,その結果は従来法による結果とよい一致を示した.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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