モリブデン酸塩,塩化テトラフェニルホスホニウム,ポリビニルアルコールを用いるヒ素(V)の吸光光度定量
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概要
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ヒモリブデン酸は酸性溶液中で塩化テトラフェニルホスホニウム(TPPC)と反応して難溶性の沈殿を生成するが,あらかじめ溶液中にポリビニルアルコールを添加しておくと可溶性錯体を生成し,その吸光度を測定することによってヒ素(V)の定量が可能である.種々の定量条件を検討した結果,波長400nmにおけるこの錯体の吸光度は最終溶液中のヒ素の濃度が5×10<SUP>-6</SUP>〜4×10<SUP>-4</SUP><I>M</I>の範囲でベールの法則に従い,定量感度はモリブデン黄を用いてもじゅうぶん良好であり,抽出法より操作も簡便である.種々のイオンの妨害作用について調べたが,特にリンの場合には著しいのでその対策について検討した結果,波長420nmにおけるヒモリブデン酸の吸光度が0であることを利用すれば,両元素の最終溶液中の濃度がそれぞれ1.0×10<SUP>-5</SUP>〜2.5×10<SUP>-4</SUP><I>M</I>の範囲で同時定量が可能であることをも明らかにした.なお,この可溶性錯体の組成を連続変化法によって調べたところTPPC:ヒモリブデン酸=1:1であった.さらに,上記の難溶性沈殿を1,2-ジクロルエタン中に抽出して抽出錯体の組成を調べた結果,その比は3:1であった.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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