薄層クロマトグラフ法による工業廃水中の有機水銀化合物の分離
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概要
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C<SUB>1</SUB>〜C<SUB>6</SUB>の塩化アルキル水銀,酢酸フェニル水銀を薄層クロマトグラフ法で分離する検討を行なった.シリカゲルB5に塩化ナトリウムを加えた薄層を用い,シクロヘキサン-アセトンーアンモニア(120:80:2)で展開すると<I>R<SUB>f</SUB></I>はメチル<酢酸フェニル<エチル<プロピル<アミル,ヘキシルの順で分離し,酢酸フェニルはメチル,エチルのほぼ中間にはいる.塩化ナトリウムにかえ臭化ナトリウム添加はアルキル類と酢酸フェニルに二分するにはよい.工業廃水試料は過マンガン酸カリウム共存でクロロホルム抽出し,一度これをアンモニア水に逆抽出し,ふたたびこれをクロロホルム抽出し薄層法による.カルボン酸その他が薄層分離を妨害するが,アンモニア溶液を陰イオン交換樹脂で処理すれば妨害しなくなり,本法を実際試料に応用して好結果を得た.<BR>工業廃水中のC<SUB>1</SUB>〜C<SUB>6</SUB>塩化アルキル水銀および酢酸フユニル水銀を薄層クロマトグラフ法で分離する研究を行ない次のような結果を得た.ただし,試料中の有機水銀化合物の抽出分離は著者ら既報のクロロホルム抽出法によっている.<BR>(1)シリカゲルB5に塩化ナトリウムを7.5%添加した薄層を用い,シクロヘキサン-アセトン-アンモニア混合溶媒(120:80:2)を用いて展開すれば<I>R<SUB>f</SUB></I>はMMC<PMA<EMC<PMC<AMC+HMCの順になり,これらはほぼ等間隔のスホットとなる.ただしAMCとHMCは単一のスホットとなる.<BR>(2)アンモニアにかえメチルアミンを溶媒に加えると,塩化アルキル水銀とPMAに分離するにはよいが,PMAと水銀イオンとの分離が不完全である.<BR>(3)本法の展開でカルボン酸,スルホン酸などが分離の妨害をし,陰イオン交換樹脂で処理すれば<I>R<SUB>f</SUB></I>の正常の値になり分離する.<BR>(4)本法を工業廃水試料に適用したところ良好な分離が得られて有機水銀化合物の同定ができ,本研究は所期の目的を達した.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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