ニュートラルレッドによる過塩素酸イオンの溶媒抽出吸光光度定量法
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概要
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酸性水溶液中に過塩素酸イオンとニュートラルレッドが共存するとイオン対を形成してニトロベンゼンに抽出される.抽出して得られたニトロベンゼン層はニュートラルレッドのために赤色に着色する.過塩素酸イオンが存在しない場合にはニュートラルレッドが抽出されないのでほとんど着色しない.このような原理に基づいた微量過塩素酸イオンの吸光光度定量法の諸条件を決定した.抽出した有機層の吸収スペクトルは552mμに極大吸収があり,pH1〜3において最大かつ一定の吸光度が得られた.過塩表酸イオンが定量的に抽出されるためにはニュートラルレッドが過塩素酸塩に対して10倍モル以上必要であり,また振り混ぜる時間は30秒以上でじゅうぶんであった.抽出後のニトロベンゼン層の呈色は少なくとも3時間は安定であり,抽出種は連続変化法により過塩素酸イオンとニュートラルレッドが1:1の組成であることがわかった.最適条件のもとで水層中の過塩素酸塩の濃度が1.6×10<SUP>-6</SUP>〜8.0×10<SUP>-6</SUP><I>M</I>の範囲でベール則に従い,モル吸光係数は9.39×10<SUP>4</SUP>mol<SUP>-1</SUP>cm<SUP>-1</SUP>literであった.共存する他種の陰イオンの影響についても検討した結果,ヨウ素イオンやチオシアン酸イオンは著しい正誤差を与えるが,硫酸イオン,リン酸イオン,フッ素イオン,臭素イオン,塩素イオン,シアンイオン,炭酸水素イオンなどは500倍モル共存してもほとんど影響しないことを認めた.またニュートラルレッドは通常pH指示薬として使用されており容易に入手することができるとともに,酸性水溶液中で試薬としても安定であり長期の保存にたえることがわかった.
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