チオシアン-溶媒抽出吸光光度法によるタングステン含有鋼中のモリブデンの定量
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概要
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チオシアン-溶媒抽出法によるモリブデンの吸光光度定量で,各種の共存イオンの影響を調べた.操作は,酒石酸および水酸化ナトリウムを加えたのち,10%硫酸溶液とし,チオシアン酸ナトリウムおよび塩化第一スズ溶液を加えて呈色させる.抽出は酢酸ブチル25m<I>l</I>を用い,約5分間よく振り混ぜた.<BR>タングステン(VI)をモリブデン量(200μg)に対し,100倍加えて操作し,470mμ付近(可視部における最大吸収波長)では,影響ないことを確かめた.さらにクロム(VI),バナジウム(V),ニッケル(II),コバルト(II)および銅(II)についても影響ないことから,クロム鋼および高速度鋼の分析に応用し,よい結果を得た.検量線から得たモル吸光係数は約18700であった.本法はタングステン含有鋼中のモリブデンの定量法としてすぐれた方法と考える.
- 社団法人 日本分析化学会の論文