有機非線形光学材料の合成
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概要
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有機合成は元来, 分子レベルでの合成技術を研究するものと考えるが, 先端技術分野において機能性有機材料が基幹材料として利用される今日では, 分子集合体としての結晶や, 会合体の生成過程までを含んだ有機合成の技術を考慮する必要がある。有機非線形光学材料の合成はまさしくこの分野で恰好の研究課題と言える。ここでは非線形光学と有機合成とのかかわり合いについて述べた。物理からの新しい理論の展開が技術としての材料に結びつき, 新技術が確立されるが, 材料は有機合成によって達成される。非線形光学材料の場合には, 分子軌道法を用いる理論設計, 分子設計, 集合体としての材料設計へと進み, さらには素子化技術との関連で材料の物性が検討されていく。このように, 有機非線形光学材料の開発には幾多の関門があり, そのそれぞれをブレークスルーして初めて材料が確立される。2次の材料については素子化段階まで進んでいるが, 3次の材料についてはまだ分子設計もままならないのが現状であり, 材料の具体的イメージにも程遠い。今後の理論的材料設計指針の発展と, それを利用した有機合成化学の進歩が新技術の発展を不動のものにしていくと考える。この小文がこの分野の発展に少しでも寄与できれば望外の喜びである。
- 社団法人 有機合成化学協会の論文
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