シアノアミノ炭酸誘導体に関する合成的研究 (第4報) : シアナミド誘導体に関する研究 (第93報)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
前報ではメチルメルカプトカルボニルシアナミド (MCC) に対する求核試薬の反応を検討したが, ここでは特にMCC自体の示す反応ならびにその関連化合物の化学的性状について検討した。<BR>MCCは結晶状態あるいはエーテル溶媒中では二量体1-シアノ-1, 3-ジ- (メチルメルカプトカルボニル) -グアニジン (d-MCC) を生成する。これに対してアセトン溶媒中あるいは加熱時においてはジ- (メチルメルカプトカルボニル) -シアナミド (1) が主生成物となることを見出した。<BR>ここに得られたd-MCCは特異な反応性を示すことを明らかにした。すなわちd-MCCはそれ自体を水中で加熱すると1-シアノ-3-メチルメルカプトカルボニル-グアニジン (4) を生成する。一方酸加水分解ではメチルメルカプトカルボニル尿素 (3) と1-カルバモイル-3-メチルメルカプトカルボニル-グアニジン (2) 塩となり, 塩基の存在下では単量体MCCに解離する。さらにd-MCCは加熱により容易にその転位生成物である1-シアノ-3, 3-ジ- (メチルメルカプトカルボニル) -グアニジン (5) となることを認めた。 (5) も液性により著しく異なる反応を示し, 酸加水分解では (2) 塩を, また塩基の存在下ではジ- (メチルメルカプトカルボニル) -アミド (6) とジシアンアミド (7) 塩に分解する。<BR>以上MCCおよびその二量体d-MCCの反応性を検討するとともに, 上記諸反応の機構について考察を加えた。
- 社団法人 有機合成化学協会の論文
著者
関連論文
- ジ-およびトリシアノグアニジンの合成 : シアノアミノ炭酸誘導体に関する合成的研究 (第5報) シアナミド誘導体に関する研究 (第97報)
- シアナミドジチオ炭酸エステルおよびその関連化合物に関する合成的研究 : シアナミド誘導体に関する研究(第92報)
- シアノアミノ炭酸誘導体に関する合成的研究 (第4報) : シアナミド誘導体に関する研究 (第93報)
- シアナミドジチオ炭酸エステルおよびその関連化合物に関する合成的研究 (第2報) : シアナミド誘導体に関する研究 (第79報)
- ジシアンジアミド・アセトン付加物に関する研究(第1報)
- グアニルメラミン類の生成機構 : 「酸存在下のジシアンジアミドの反応」 (第3報)
- ポリグアニジノ-s-トリアジン類の合成 : 酸触媒によるジシアンジアミドの反応に関する研究 (第2報)
- グアニルメラミン類の合成について : 酸触媒によるジシアンジアミドの反応に関する研究 (第1報)
- 過酸化水素の新製造法について
- 1-チオアロファン酸S-メチルエステルの合成と反応 : シアナミド誘導体に関する研究 (第95報)
- 置換グアニル-O-アルキルイソ尿素の合成およびこれをもちいるN1, N5-ジ置換ビグアニドと置換グアニルウレタンの合成 : 「シアナミド誘導体に関する研究 (第81報)
- シアノ-O-アルキルイソ尿素をもちいる合成反応 : シアナミド誘導体に関する研究 (第75報)
- シアナミド誘導体の研究
- リジンの合成
- カルバモイル-O-メチルイソ尿素に関する合成的研究 : シアナミド誘導体に関する研究 (第88報)
- カルバモイルメラミン合成法の改良 : シアナミド誘導体に関する研究 (第85報)
- シアナミド類の接触還元に関する研究(第2報)
- シアナミド類の接触還元に関する研究 (第1報) : シアナミドの接触還元によるホルムアミジン塩類の新製造法
- シアナミドジチオ炭酸エステルおよびその関連化合物に関する合成的研究 (第1報) : シアミド誘導体に関する研究第78報
- グアニル-O-アルキルイソ尿素法によるアルキレンジビグアニド類の合成
- 2-アミノ-4,6-ジ置換-s-トリアジン類の合成
- グアニル-O-アルキルイソ尿素-4-グアニル-O-メチルイソ尿素塩製造法の改良
- グアニル-O-メチルイソ尿素ならびにそれとアミノ化合物との縮合反応
- シアナミドとO-アルキルイソ尿素との縮合反応およびシアノ-O-アルキルイソ尿素の合成
- Guanyl-ο-Alkylisourea. III:Synthesis of Mono Substituted Biguanide by Reaction of Mono Amine with Guanyl-ο-Alkylisourea Salt.
- イミドイルグアニジンの合成