炭素-炭素結合生成に役立つ高選択的クロム反応剤
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概要
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有機合成におけるクロムの利用としては, Cr (VI) の酸化反応, Cr (II) による還元反応がある。酸化反応は無水有機溶媒中でも行え, 従ってアルコールを酸化してアルデヒドの段階でとめることができる。一方還元反応は含水溶媒系で行うほかはなかった。なぜならば, Cr (II) 塩の簡単な合成法といえば, 水溶液中でCr (III) を還元するか, クロム金属を酸水溶液で処理するものに限られていたからである。こうして得たCr (II) を用いて有機ハロゲン化物を還元した場合, 中間に生じているといわれている有機クロム体は直ちに水と反応してしまう。<BR>最近, 遷移金属塩と還元剤との複合系を利用して低原子価金属塩の調製が無水非プロトン性溶媒中で可能になってきた。この考えをクロムに適用したのが, この研究の発端である。すなわち, 無水クロム (III) にテトラヒドロフラン (THF) 中0℃にて水素化アルミニウムリチウム (LAH) 1/2モル加えると, 直ちに水素の発生が認められ, 生じたクロム塩がCrCl<SUB>2</SUB>と同様の反応性を示すことがわかった。<BR>CrCl<SUB>3</SUB>+1/2LiAlH<SUB>4</SUB> THF0℃→ “CrCl<SUB>2</SUB>” +H<SUB>2</SUB>
- 社団法人 有機合成化学協会の論文