雪の研究と航空機の利用について
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概要
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日本における雪の研究に対しての航空機の利用は, 第2次大戦後ようやく活発となってきたようで, その最初の報告は, 1948年菅谷重二の北海道忠別川流域のスノー・サーベーの報告のなかに見られる。それは, 面積雪量を計算するのに, 航空写真を基として高山裸地帯, 樹林地帯, 耕地帯を決め, そのおのおのについて面積雪量を計算したものである。<BR>融雪流出の問題に関連して, 雪線の移動状況は融雪有効面積を決定する上において有効な要素である。1953年, 中国電力株式会社は, 太田川水系王泊流域について航空機による残雪調査をスノー・サーベーの一環として実施している。また, 1957年, 北海電力株式会社と札幌管区気象台は, 洞爺湖周辺流域のスノー・サーベーにおいて, 雪線の移動状況を航空機で観則している。<BR>このように, スノー・サーベーにおける航空機の利用は, 雪量の把握・雪線の移動状況の把握などの立場からおこなわれているのであるが, スノー・サーベーの現行の方式は調査員がスノー・サンプラーを携行して, 雪山へ入り込み, 雪量を測定するというきわめて危険の多い仕事である。このような測量は, 今日当然航空測量の方式に切りかえらるべきであろう。昭和38年1月豪雪の際の北陸の積雪について, 航空自衛隊の航空写真測量を実施し, 国土地理院がその写真を解析して, 1mおきの積雪深の等値線を引くことに成功したということは, この方式の確立に対して大きな希望を抱かせるものである。<BR>融雪の人工促進のため, カーボン・ブラックを野外の積雪面に撒布するというやり方は, かなり古くからおこなわれているのであるが, 航空機を利用して大規模に撒布するという方式が, 1956年, 関西電力株式会社によつて, 三浦貯水池に対しておこなわれた。昭和38年1月豪雪の際にも, 北陸農業試場がこの研究をおこなっている。<BR>その他, なだれ発生監視, 送電線着氷雪監視のために, ヘリコプターによるパトロールが電力関係機関, 国鉄関係機関などによって最近活発におこなわれている。<BR>以上のように, 積雪の研究に対する航空機の利用は, ようやく緒についたばかりという状況であって, 今後ますますその利用面は拡大するであろう。<BR>人工衛星により気象観測は, 気象界にご新しい分野を開きつゝある。最近では衛星より赤外線を発射し, 地表や雪の温度測定が可能となった。このように, 航空測量も空中から地上の物理量の定量測定ができるように開発さるべきであろう。
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
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