白山千蛇ケ池雪渓の位置・形態・質量収支・融雪過程について
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概要
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1969年以来, 白山山域における唯一の多年性雪渓であるところの千蛇ケ池雪渓について測量を行ってきた.この雪渓は山嶺の西側斜面の窪地に位置しており, 8月下旬から10月にかけてその低い方の端に池が現れる.10月には雪渓の規模は南北に約75m, 東西に約60mであり, 雪の厚さはその最大の部分で約10mである.1976年と1977年との10月における雪渓の平面図が示されている.これらの年の雪渓の規模・形は1969年一1978年の中での代表的なものである.定められた位置 (点a) での10月の雪面高の年々変化から, 各水文年の正味質量収支は1972年までは平均的にみて負であり, それ以後は平均的にみて正である.1965年-1978年には概括的に越年雪が増加している.<BR>1973年には融雪期に数回の継続的な測量による消耗過程の調査を行った.これにより, 1972年-1973年冬期の年間堆積量は, 降雪期末 (4月30日) には, 雪の深さにして約14mであることがわかった.そして別のデータを参照すると, その冬の, 雪の深さでの新堆積量の最大は3月中旬頃に起こり, 20m程度であったと想像される.1973年の最も活発な融雪の時期における消耗の割合は約1.3×10<SUP>2</SUP>ton/day (雪の厚さでいうと約11cm/day) で, その頃窪地の地中へ浸透流下している水の量は約0.9×10<SUP>2</SUP>ton/dayと推定される.<BR>1976年10月におけるサーマルドリルの貫通によって, 雪渓の絶対的な深さを決定できた.またその沈下速度分布および年々の10月における点aでの雪面高等を参照して, その時点で, ドリルされた4つの孔の位置での, 1972年10月の雪面付近にあたる層の深さを推定した.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
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