月山の雪渓の研究I
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概要
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1976年夏季に, 月山 (標高1,980m) の南西側の谷頭にある牛首 (うしくび) 残雪と, 南東側の圏谷にある大雪城 (おおゆきじろ) 雪渓の調査を行なった.牛首残雪に対しては, 7月26〜28日に表面積の測量と積雪の断面観測を行ない, 大雪城雪渓に対しては, 9月23日に表面積の測量を行ない, 次の結果を得た.<BR>1) 牛首残雪 (標高1650〜1695m) の表面積の測量値は9.3×10<SUP>3</SUP>m<SUP>2</SUP>で, 残雪の平均の厚さは1.5〜2.0mと推定され, 質量は8×10<SUP>3</SUP>〜11×10<SUP>3</SUP>トンと推定された.<BR>2) 牛首残雪に対する断面観測の結果, 次のことがわかった.雪質は粒径0.5〜1.0mmのよくしまったざらめ雪で, 最下層の積雪中には5mm程度の粒径のものも認められた.積雪のぬれ密度は0.55〜0.65g/cm<SUP>3</SUP>, 木下硬度は4.2〜33.0kg/cm<SUP>2</SUP>, 含水率は10.0〜18.7%であった.<BR>3) 大雪城雪渓は南田, 北田とよばれている2つの雪渓に分れており, これらの大きさはほぼ同程度であると認められた.<BR>4) 大雪城北田雪渓 (標高1790〜1815m) は最大傾斜方向 (北50°西, 勾配18°) の長さが約70m, 最も長い所で125mで, 表面積の測量値は5.2×10<SUP>3</SUP>m<SUP>2</SUP>であった.雪渓は中心部で最も厚く, その厚さは約2.5mで, 平均の厚さは約1.4mと推定された.また, 雪渓の体積は約6.9×10<SUP>3</SUP>m<SUP>3</SUP>で, 質量は約5.0×10<SUP>3</SUP>トンと推定された.<BR>5) 1976夏期における大雪城北田雪渓の消耗量を検討した結果, 越年量は2.2×10<SUP>3</SUP>トン程度と推定された.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
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