青森市の降雪特性
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概要
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青森市が日本有数の豪雪都市になっている原因を考察するため, 青森県内の日平均気象データ及び秋田の高層気象データを統計的に解析した.その結果次のような降雪特性が明らかになった。まず, 青森の降雪は他の地域の降雪との相関が良くなく, 青森付近だけ独特な降り方をしている.また, 青森の降雪は秋田の高層気象との相関が高く, 青森に多量の雪が降る日には, 上空に寒気が流入してきて, 対流混合によって水蒸気が高度1500〜3000mまで運ばれている.さらに, 青森の降雪は地上気象との相関も高く, 気温が低く風が強いほど降雪量が多い.また, 雪を運ぶ風の向きはほぼ南西の方向に一定している.このような降雪と高層気象及び地上気象 (気温, 風向・風速) などとの高い相関は, 津軽地方の他の地域では見られない特徴である.<BR>これらの青森市の降雪特性は次のように解釈される.まず, 青森の降雪が他の観測点と相関が低いのは, 青森が山脈などの地形により他の地域から隔絶されており, 降雪に対するこれらの地形の影響が大きいためである.また, 高層気象と相関が高いのは, 青森の降雪が本質的に山雪であることを示唆している.さらに, 地上気象との相関が高いのは, 青森の場合には気温の低下・風速の増加に伴って上昇気流が生ずる一定の場所があり, 風の向きがそこで生成された雪片を青森に運ぶ方向に一定しているためである.雪片を運ぶ風の向きはほぼ南西であるので, 雪片の生成場所としては, 八甲田山系の西〜北西側斜面上空が挙げられる.すなわち, 青森の雪は八甲田山系の西〜北西側斜面上空にできた山雪が風に乗って里に降ったものであると考えられる.
- 社団法人 日本雪氷学会の論文
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