歯根膜線維芽細胞の形態変化におよぼすたばこ煙とニコチンの影響
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概要
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歯周疾患のリスクファクターであるたばこ煙とたばこ煙に含まれる毒性成分の一つであるニコチンのヒト歯根膜線維芽細胞(HPLF)の形態におよぼす影響を観察した。播種直後の歯根膜線維芽細胞にたばこ煙とニコチン溶液を作用させた場合, 両刺激により細胞はプレートへ接着せず増殖は観察されなかった。十分増殖した細胞にたばこ煙, ニコチン溶液を作用させた場合, 細胞・プレート間, 細胞間の接着がゆるみ細胞間に隙間を生じ, 次第に細胞が細くなって溶解した。この現象は, たばこの葉に含まれるニコチン含有量, ニコチン溶液濃度に依存した。歯根膜線維芽細胞に種々の濃度のニコチン溶液を作用させたときのサイトカインの発現状態をRayBioTM Human Cytokine Arrayキットを用いて観察した結果, ニコチン低濃度の場合, IL-6, IL-8など炎症性サイトカインの発現が観察された。ニコチン刺激による細胞死の状態をTUNELの変法を用いて観察した結果, 細胞が溶解する寸前に, アポトーシスが認められた。ニコチンレセプター阻害剤であるhexamethoniumを作用させた後ニコチン溶液を作用させると, ニコチン刺激のみによる形態変化と同様の形態変化が観察された。ニコチン溶液から発生するフリーラジカル種をESRで観察した結果, スーパーオキシドアニオンラジカル(O2・-)とヒドロキシラジカル(・OH)の発生が観察された。以上の結果より, 喫煙による歯根膜線維芽細胞の破壊は, たばこの煙に含まれるニコチンから発生するフリーラジカルによって引き起こされることが推測できる。日本歯周病学会会誌(日歯周誌)50(4) : 238-249, 2008
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