糖尿病におけるhyporeninemic hypoaldosteronism腎症および自律神経異常との関連について
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概要
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成人発症糖尿病において,高血圧や腎機能不全を認めない腎症初期症例のレニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系動態を観察し,自律神経障害との関連を追求した.糖尿病43例(持続的蛋白尿陽性15例・陰性28例)および対照21例について, 1)安静時およびfurosemide 40mg静注+立位負荷時の血漿レニン活性(PRA)・血漿アルドステロン濃度(PA), 2) angiotensin II (AII) 5およびl0ng/kg/min注入時のPA反応, 3)臥位深呼吸時の心電図R-R間隔変動および起立時血圧変化を測定した.蛋白尿陽性糖尿病群では,安静時・負荷後のPRA・PAはいずれも他の2群より低値であつたが, PA/PRA比はむしろ高値を示した. A II負荷によるPA反応には3群間に有意差を認めなかつた.蛋白尿陽性群・陰性群を含めた糖尿病例で, PRA負荷後上昇量, R-R間隔変動,起立時収縮期血圧変化の3者間に有意な正相関を認めた.以上の成績より,成人発症糖尿病腎症初期の機能的代償期にも,すでに低レニン,低アルドステロン状態が存在するが,アルドステロン分泌反応は保たれ, RAA系低下の一次的原因としてレニン活性の障害が推定し得る.また腎症を発症する以前の段階から自律神経異常が存在し, RAA系低下に関与している可能性があると考えた.
著者
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