重症筋無力症における胸腺摘出効果にかんする研究 : 組織学的ならびに電気生理学的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
重症筋無力症(以下MG)に対する胸腺摘出の効果を検討した結果,胸摘群49例(胸腺腫のある例は除く)の寛解・著明改善率は63.3%で,非摘群59例の35.6%に比べて有意に高率で(P<0.01), MG治療における胸腺摘出の有効性を確認した.摘出胸腺の組織検索では,胸腺髄質におけるgerminal center (以下GC)の形成は49例中39例(79.6%)にみられた.胸腺GC形成の程度と術後経過の間には有意の関係があり(P<0.02), GCが著明な群ほど術後経過は不良であり,かつ術後改善にかなりの時間的遅れがみられた.これらから胸腺GC形成は重要な予後推測因子になりうる.誘発筋電図所見とMG臨床像の関連では,口輪筋waningは球症状を有する症例の83.9%にみられ,臨床像とかなり相関したが,小指外転筋waningは四肢症状を呈する症例の56.6%にみられたのみで,臨床像と必らずしも一致しなかつた. Basedow病を合併した12例中11例ではBasedow病がMGに先行して発症していた.大部分の症例では甲状腺機能亢進時期にMG症状は最も強く, Basedow病治療による甲状腺機能の正常化に伴つてMG症状は改善した.しかし甲状腺機能の正常化のみではMGの寛解はみられず,胸腺摘出が必要であつた.
- 社団法人 日本内科学会の論文