特発性心筋症における心筋伸展性にかんする研究 : とくに伸展性の指標と陰性最大dp/dtについて
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概要
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特発性の心筋疾患とされる肥大型心筋症hypertrophic cardiomyopathy (HCM)と同疾患うっ血型心筋congestive cardiomyopathy (COCM),および対照群の計42例について左室圧-容積変化から左室の拡張期心筋特性を求め,またこれらの伸展性,コンプライアンスの両指標と左室内圧陰性最大dp/dtとの関連性について検討を行なつた. HCM群の心筋伸展性の指標dv/dp (1.099±0.621ml/m2/mmHg)およびコンプライアンスの指標dv/dp・v (0.0134±0.006 1/m2/mmHg)は対照群dv/dp (3.590±1.602 ml/m2/mmHg), dv/dp・v (0.0380±0.0093 1/m2/mmHg)に比して有意の低下(P<0.001)を示した.一方,左室カテーテル法で求めたHCM群の左室内圧陰性最大dp/dt (972.0±286.4mmHg/sec)は対照群dp/dt (2140.0±266.1mmHg)に比して有意の低下(P<0.001)を示した.伸展性の指標dv/dpと左室内圧陰性最大dp/dtの間には有意の相関(r=0.74, N=35, P<0.00l)を認めた.また,拡張終期容積におけるコンプライアンスの指標dv/dp・vと左室内圧陰性最大dp/dtを拡張終期圧で補正した値-dp/dt・EDPとの間にも有意の相関(r=0.91, N=35, P<0.001)があつた.以上の結果から,左室内圧陰性最大dp/dtが左室拡張期の心筋特性を表わす指標として臨床的に有用であろうことが推測された.