狭心症の運動負荷にかんする研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1768年William Heberdenのくわしい記載以来,狭心症の病態生理について多くの研究が行なわれて来たが,そのメカニズムの解明はまだなされたとはいえない.また狭心症の運動負荷にかんする研究も多く報告されているが,その成績は必ずしも一定せず異論も少なくない.著者は典型的な労作性狭心症を対象に運動負荷を施行し,狭心発作時の血行動態および狭心発作と運動負荷量の関係について,くわしく検討を行なつた.運動負荷による血行動態については二つのパターンがみられた.すなわち,運動負荷量がある一定以上に増大すると心拍出量がさらに増加するI群と,逆に減少するII群である.運動による心拍数の増加は両者に差がみられず, II群の心拍出量の減少の要因は1回拍出量の低下のためであり,同時に急性心不全の傾向が窺えた. Robinsonのrate-pressure productと狭心発作の相関性について賛否両論があるが,著者の成績ではI群はよく一致し, II群は相関を認めなかつた.狭心発作と運動量の間に等価関係をみい出す目的で繰り返し行なつた運動負荷の成績から狭心発作誘発仕事量(〓+σ)を算定し,各症例の発作発現の閾値を求めた.この発作誘発仕事量を基準として薬物の治療効果を調べるため,運動耐容量の増し,およびup and down法による狭心発作抑制の時間帯について検討したが,運動耐容量の増しについてはmolsydomineが他の2薬より有意に大きく,また発作抑制の時間帯はmolsydomine 5.46時間であつた.以上本論文は労作性狭心症に血行動態からみて二つの型があり,運動耐容量,狭心発作誘発仕事量は狭心発作の客観的評価に極めて有用であることを示している.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
関連論文
- Demand PacemakerにおけるFalse Sensingの臨床例とその発生機序に関する研究
- 僧帽弁狭窄症の血行動態 : 弁口面積と弁口流量について
- 三尖弁逆流の血行動態
- 狭心症の運動負荷にかんする研究