慢性閉塞性肺疾患患者の最適呼吸にかんする研究
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概要
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換気力学的立場から,ヒトの呼吸はその仕事量(fw)あるいは呼吸筋運動の振幅の変化(fp)が量小となる条件が量適であるとの仮説がたてられており,正常人の最適呼吸数については既に報告されているが,COPDについては単なる観察値しかみあたらない.今回著者は呼吸数を制御する化学的および換気力学的因子を解析し,理論的に導かれた最適呼吸数および死腔換気率がどれだけ実測値と合致するかをみる目的で,正常人とCOPD患者とについて比較検討した.時定数の低い正常人では自発呼吸数はfwに近似し,時定数のあまり高くない15×10-3min以下の患者群ではfpに近似した.時定数がそれ以上の患者では,自発呼吸数,死腔換気率共に理論値よりはるかに偏位した,自発呼吸数は体重の大小,口呼吸と鼻呼吸, COPDの臨床病型別,時定数の高低でいずれも差はみられず,正常値近く維持されているので, COPD患者では最適呼吸数から偏位しており,それだけ呼吸に要するエネルギーを無駄に消費しているものと思われる。この事が呼吸困難度に関係しているものと推測される。若干の例に電算化レスピレーターを使用したが,血液ガスの改善からみて効果はみられたが,fwおよびfpの自発呼吸数からの偏位は対照時より更に増大した.その原因についても検討した.