急性低酸素負荷に対する冠血管系の反応
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概要
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急性低酸素負荷に対する冠血管系の代償機能を検討する目的で, 9頭の麻酔開胸犬を用い,調節呼吸下に10%O2, 5%O2を負荷し,電磁流量計により左冠状動脈回旋枝,大動脈の拍動血流速度を記録,同時に大動脈圧,左房平均圧(〓LA),動脈血O2分圧(PaO2),冠状静脈洞血酸素分圧(PcsO2)およびpH(pH-cs)を測定した.PaO2が40〜50mmHg以下に減少するまではPcsO2は約20mmHg前後に保たれるが,それ以下に減少するとPcsO2の著明な減少がみられた. 4例においてPcsO2が10mmHg以下, PaO220mmHg以下になると, 〓LAの上昇がみられ, 3例においてはこの時点で冠血管抵抗(CVR)は最低値を示した. PaO240〜20mmHg, PcsO220〜10mmHgの範囲では, CVRおよび冠状動脈血流量はPaO2, PcsO2の数mmHgの変動に対して鋭敏に反応しない.急性低酸素負荷に対する冠血管系の代償反応は早期から十分に行なわれていない.
- 社団法人 日本内科学会の論文