腎組織における尿素の分布状態にかんする研究とくに尿濃縮力との関係について
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概要
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腎counter-current理論の導入とともに腎濃縮稀釈機構は解明されつゝあるが, 特に尿素の腎内動態にかんしては摂取蛋白量の影響もあり不明の点も少なくない. 著者はrat腎内尿素分布状態を, 各種状態 (正常, 利尿および抗利尿) の経時的推移について14C標識尿素を併用して調べた. Mannitol利尿状態より正常状態への回復は腎乳頭が比較的早い回復を示し, ADH存在下においては, 髄質および乳頭の尿素に対する透過性が亢進し, 尿素のtrappingを増強せしめ, これが腎内尿素再循環に影響を与え皮質より乳頭に至る尿素の滲透圧濃度勾配を形成すると考えられた. 蛋白摂取量の変化による腎内尿素分布状態に及ぼす影響にかんしては, mannitol利尿例における高および低蛋白食群では腎よりの尿素洗い出しに対するbarrierの存在, 尿素再循環効率の変化等の問題が暗示された.
- 社団法人 日本内科学会の論文