実験的腎疾患におけるglucosamine, galactosamineおよびhydroxyprolineにかんする研究
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概要
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糸球体腎炎およびネフローゼ症候群(リポイドネフローゼおよびネフローゼ加味腎炎)においては,病変の進展とともに糸球体の硝子化,瘢痕化および線維化と間質系の線維化がみられる.これらを考える際に多糖体とコラーゲンの代謝が問題となり,これを追求するため多糖体の特異成秀でglucosamine (GL)とgalactosamine (GA)から成るhexosamine (HA)およびコラーゲンの特異成分であるhydroxyproline (HP)をラットのaminonulceoside (AN) nephrosisおよびnephrotoxin (NT) nephritisの腎皮質,腎髄質,肝,血清および尿について測定し,あわせて腎,肝の病理組織について検討を加えた.両腎疾患において病態が進むにつれ,腎皮質,腎髄質において,まずHAが増加,ついHPが増加する所見を認めた.これは組織所見で未だ証明されていない時期において,線維化を暗示する所見と考えられる.両腎疾患の腎皮質,腎髄質ともにGAについては,初期群で増加,極期群で減少を示し,変動に相違はみられなかつた. GLについては,両疾患のいずれの時期においても,腎皮質は腎髄質よりもおよそ50%前後の高値を示し,極期群は初期群に比べ, AN nephrosisでは減少, NT nephritisでは増加するという特徴がみられた.この相違は両腎疾患の成因の相違によるものと考えられ,また光顕的および電顕的組織所見の相違に対応するものと考えられる.尿中HAおよびHP排泄量は尿蛋白排泄量に平行して増加をみ,尿HAの増加は血清蛋白結合HAの傷害腎からの排泄増加によるものであり,尿中HPの増加は腎を含む体内のコラーゲンあるいはレチクリンの破壊の亢進あるいは代謝回転の亢進のためと考えられる.両腎疾患では腎の初期群,極期群のHAの増減はHAを含む中性mucopolysaccharideあるいは中性mucoidあるいは中性mucoproteinによるものと考えられる.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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