Haptoglobinの研究 : 輸血による影響とその実験的考察
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概要
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Haptoglobin (Hpと略す)は溶血性疾患にて著明に減少するので,輸血後の微量の溶血の有無を検するため,各種疾患における輸血の前後にHpを測定した.同時に輸血によるHpの変動の意義を觀察するためと,溶血判定方法としてのHpの適否を検討するために動物実験をおこなつた. Hp測定法はLathemに準じて濾紙電気泳動法で行なった. (1) 種々の疾患20例に輸血前と輸血後2〜4時間のHpを測定した結果,上昇10例,低下7例を認めた.特に20mg/dl以上の有意の変動を示す8例中2例のみに低下を認めた. (2) 動物にHpのhaemoglobin (Hb)結合能以内にHbを静注すると, Hpは一時上昇を認める.これはHpが新たに血中に補充されるものと考えられる. 8〜12時間後にはHpは前値以下となる. (3) Hpの結合能以上にHbを動物に静注すると, Hp値は著明に減少するが、点滴静注にて長時間に投与すると低下しない.またHbの連続投与によりHpは著明に減少する.従つてHp値の著明な減少には溶血の量と速度が関係する. (4) 感染動物にHbを投与した場合と, Hb連続投与後に感染させた場合とではHb投与によるHpの変動よりも,感染によるそれの方が著明である. (5)以上の動物実験の結果より,臨床例で輸血後Hpの2mg/dl以上の変動を示す8例中,低下を示す2例は溶血によるものと考えられる.他の6例のうち著明なHpの上昇を示す1例を除いて,他のものにみられるHpの上昇は,前記のHpの補充によるものと想像される.従つて, 1回輸血後の溶血判定に際しては,上昇例では時間を追ってHpを判定する必要があるものと推測される.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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