肺不全の電解質代謝にかんする実験的研究
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概要
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重症肺疾患において電解質代謝異常,酸塩基平衡障害がおこることは古くより知られており,その成因としてhypercapnia (炭酸ガス蓄積)が重要視されているが, anoxiaの影響もまた無視することはできない.著者は肺不全の電解質代謝におけるhypercapniaとanoxiaの影響を別々に検討するために,犬を用いて10% CO2吸入および10%CO2, +10% O2吸入をおこない,酸塩基平衡諸量,血漿ならびに尿中電解質の変動,腎機能および血中乳酸濃度を比較検討した, hypercapniaの影響としては, Clの細胞内への移動,血中乳酸の低下, NaおよびHCO3-の再吸収増加など,多くの緩衝作用が存在して血液pHの低下を防いでいることが確かめられた.一方anoxiaの影響としては尿中Na, HCO3-の排泄増加,尿のアルカリ化,血漿C1濃度および血中乳酸濃度の増加傾向などhypercapniaの場合と逆に代謝性アシドーシスが起こることを示唆する成績が得られた.
- 社団法人 日本内科学会の論文