酸素吸入による肺内窒素稀釈曲線の分析 : 特に一回呼吸法の吟味
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概要
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酸素吸入による呼気N2濃度分析を換気異常のある病態者に応用するに当つては, 未だ種々の問題が残されている. 著者は特に一回呼吸法に注目し健常者, 慢性肺疾患々者に於ける測定時の諸条件を吟味し, 本法を補遺すると共に臨床応用上の価値を評価する目的で研究を行なつた.呼吸回路を含めた器械 (特にN2-Meter) についての特性を検討し, N2分析値に及ぼすそれらの影響を確かめた. 酸素一回呼吸法によつて呼吸死腔・肺胞気N2濃度勾配及び呼気終末N2濃度の測定を行なつた. 呼気終末N2濃度値にもとづいて残気量/全肺気量比率, 残気量, 全肺気量の算定を行なつた. 呼吸死腔値を除く他の測定値は再現性を有し, 従来の標準法と比較して有用なことを確かめた. 一回呼吸法は患者に対する負担の軽減, 検査時間の短縮, 反復検査の容易等の利点を有し, かつ多目的性を具備する点から臨床応用上有意義と考える.
- 社団法人 日本内科学会の論文