改めて漢方に求められるものを考える : —思い出に残る症例から—
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概要
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現在,わが国では約7割の医師が漢方薬を処方し,ほとんどの医学部,医科大学で漢方の講義が行われている。半世紀前には予想だに出来なかったことである。しかし一方で,今,漢方は重大な岐路に立たされている。EBM,RCT,科学化が求められ,さらにはグロバリゼーションの波にさらされている。さらに生薬資源の問題もある。この対応を間違えると,漢方は現代医学にのみ込まれてしまうか,取り残されて衰退してしまうだろう。一介の開業医の私が,その解決の鍵をもっているわけはない。しかし,ただ長く漢方に携わってきたそのことより,私なりの思い,考えもあるので,それを語った。確実に言えることは一つ,漢方の原点を見失わず,それを大切に守っていくこと。「漢方薬は,本質的には病気でなく病人を治療する薬である」と述べた。また,漢方の口訣に触れ,開業医の役割に言及し,日本東洋医学会に対しては,我々町医者も堂々と発言出来る場であり続けてほしいことを要望した。
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