TNF-αによる肺傷害に対するヒト尿由来のトリプシン・インヒビターの効果
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概要
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【背景・目的】我々はこれまでの実験結果に基づいてTNF-αによる肺傷害をヒト尿由来のトリプシン・インヒビター(UTI)が抑制または軽減できるかどうかを検討した.【対象と方法】実験にはラットを用いた.ネンブタール麻酔下で尾静脈よりTNF-αを投与したTNF-α群, UTIとTNF-αを同時に投与したUTI・TNF-α群, 生理食塩水を投与したPBS群(コントロール)との3群間で肺傷害の程度を組織学的および組織化学的に比較し, さらにミ***ペロキシダーゼ活性を測定して比較した.【結果】ラットにTNF-α (250ng/匹) を投与することにより, 肺葉および区域気管支動・静脈の周囲は勿論のこと, 呼吸細気管支の周囲の血管壁にも多くの好酸球の集簇がみられた.また, 大小の肺胞腔内出血域, 血小板の凝集および血管炎の形態学的特徴である炎症性細胞の集籏もしばしばみられた.しかし, UTI・TNF-α群では上記の領域での好酸球の集簇は少なく, 個体によってはPBS群と変わらないものもあった.切片上で時々出血域が見られたが, その域は非常に限定されていた.血管炎が存在しても炎症性細胞の集簇は少数で, 全く血管炎のみられない個体もあった.肺のミ***ペロキシダーゼ活性は, TNF-α群がPBS群に比較し有意(p<0.0001)に上昇したのに対し, UTI・TNF-α群の上昇は有意でなく, TNF-α群に比べ有意(P<0.0001)に低値であった.【結語】UTIはTNF-αの投与による肺傷害を著しく軽減するばかりでなく, 血管炎の誘発をも著しく抑制する効果をもつことが示唆される.
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